2020前期 自己啓発助成金 活動報告:生活情報新聞社 笠井 誠 さん

11月15日にアフターコロナをテーマにしたアート展示会とディスカッションに参加しました。主な目的は私が来年主催するアートイベント開催における参考にするためでした。パネラー、オーディエンス含め約20名ほどと小さなイベントではありましたが、どのような方向性でイベントを実施すべきか、大変参考になりました。 まず現状把握として、日本は欧米と比較して「アート」が日常に溶け込んでいない社会であるということ。アートが好きな人は、ある種社会のマイノリティーのような存在であるということでした。

1)各人におけるアートに関する活動発表

 プログラム1回目では、神戸ミューラルアートプロジェクト代表、大阪大学医学部でAIの研究をしている方、他にAIを活用したアート活動を行っているアーティストのパネルディスカッションが行われました。

 神戸ミューラルアートプロジェクトの代表者は神戸市役所の現役職員で、神戸の街にミューラルアート(壁面アート)を広める活動を行っています。神戸市職員という立場をうまく活用し、取り壊し予定の公共施設への壁面アートをクラウドファンディングで実施。またプロジェクトに際して実行委員会を設立し、アート制作自体は民間主体という方法を取って、市民からの「アート作品に税金を投入するのか」という批判を回避。そうした活動を続け、現在では神戸港にある「メリケンパーク」に常設の壁面アートを展開。またアーティストに対して100万円の報酬を与えることで、報酬基準の設定とプロジェクト自体を主催団体、アーティスト双方に持続可能な取り組みとして継続しています。

(下図左:プロジェクト運営内容/下図右:メリケンパーク内に実在する壁面アート一部)

  

 大阪大学医学部教授の内藤教授は主に医学分野でAI研究を続ける方ですが、AIとアートに関する研究も行っており、約2週間AIにアート作品の学習をさせることでオリジナルの絵画を制作できることに成功。今年そのアート作品の販売もできたそうで、おそらく世界で初めてAIが制作したアート作品が一般販売できた実例だそうです。

2)一般聴衆も含めたディスカッション

 ここでは主催者の友人関係者中心のディスカッションであったため、私の発言機会は残念ながらありませんでした(後の懇親会で謝罪されました)が、その中でアーティストとして参加されていた方が、「アーティストと一般の方との距離感を痛烈に感じており、あらゆる手段でこの距離感を縮めなくてはならない」と語っていたのが印象的でした。当イベント、且つアプリ開発者はアーティストと一般の距離感を縮める活動を行っており、今回の取り組みでは、各々作品のキャプションを設けずにQRコードによる補助説明とさらなる作品紹介を実施していましたが、それではITリテラシーの低い人々にアートの楽しさが届かないということ。QR活用やアプリの活用でコロナ禍対策はできるものの、それによって全ての人にアートリテラシーを引き上げるには至らない、ということが課題として残りました。

3)おまけ:ライブペイント

 イベント当日の最初のアトラクションとして、アート制作におけるアナログとデジタルの融合というものがあり、書道(水墨?)アーティストとiPadに描いた作品を重ね合わせた作品展示がありました。同じようなイベントの実施は難しいかもしれませんが、興味深い試みだったので報告したいと思います。

 

黒い部分は筆で描いたもの(アナログ)

 

背景の金や白い部分はデジタルアート

 

 

 

 

■総括

 アーティストの方が話していた「アーティストと一般人との距離感」は私が痛烈に感じていた部分でした(燕三条地域で公的美術館が一切無いという事実)。

 そしてマイノリティーであるアート好きな我々が、アートの楽しさを一般に広めるべく活動すべきだということは当初と変わりはありません。しかしながら、神戸ミューラルアート代表のお話を伺い、アーティストにもしっかりと報酬を提供することで、活動を持続可能なものにすべきという点で考え直しました。当初は若手作家を引き上げるという目的で、アーティストに無償で活躍の場を与えるつもりでしたが、それではアーティストが活動を持続できない、ということに気づかされました。現代ではクラウドファンディングという資金集め手法があるので、それを活用しつつ、燕三条地域において「アートの楽しさ」を広める活動を実施していきたいと思います。

========== ※自己啓発助成金2020(後期)は、12月25日まで申請を受付けています。 スケジュール等詳細は、こちらhttp://oshimax.jp/archives/groupsinfo/9769

Comment

  1. 大島誠 より:

    良い研修をされましたね。

    13日まで上越で開催しているアールブリュット展も是非ご覧ください。

    作品を商品化し、わずかですが作家に報酬がわたります。

    大島 誠 

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