得意なことで活躍できる支援を-職場の「大人の発達障害」
日経BP Human Capital Online 職場の「大人の発達障害」の記事です。(会員制)
神奈川産業保健総合支援センター 相談員/産業医科大学 産業精神保健学研究室 非常勤助教
医師 伊藤 裕康 氏
産業医としての経験からの良記事。ポイントだけ紹介します。
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vol.1 大事なことは「発達障害であるかどうか」ではない
そもそも「大人の発達障害」とは?
- 発達障害は、脳機能の発達のアンバランスによって生じる先天性の障害。
- 社会に出て初めて、「コミュニケーションが苦手」「不注意によるミスが多い」といった、障害を原因とするトラブルによって発覚する。
- 病気ではないので、治るという問題ではない。
配慮しすぎた結果・・・
- 発達障害の社員への対応を考える上で、その人が「障害者である」と障害にとらわれ過ぎると大事なことを見逃す
- 周りからの支援(マニュアル化やコミュニケーション窓口の一本化等)は増え、
その社員が「しない仕事」が増えた。
「する仕事(できる仕事)」は増えなかった。 - 配慮することに注力した結果、本人の戸惑い、周囲の「なぜ、あの人だけ?」という不信感、「その人との仕事のやりづらさ」等のネガティブな反応を生んでしまった。
「どうやって活躍してもらうか」の視点
あらゆる働く人に共通の視点=その人の能力を活かす
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vol.2 本人が得意なことを生かして活躍できる支援
相談事例
[職場の人たちは「もしかしたら発達障害があるのではないか」と薄々気づいているのだけれど、本人はまったく無自覚のため、問題が解決の方向に進まない]ケース
業務に生じている支障を3つの視点で整理する
- A 安全:安全な行動ができているか。
- K 勤怠:勤怠を守っているか。度重なる欠勤・遅刻早退や過剰な残業はないか。
- P パフォーマンス:職位相当の生産的な仕事ができているか。
本人+同僚業務への影響も
目安は最低「約8割」(8割を下回ると本人も同僚も疲弊する)
医師に相談するポイントは?
- 業務遂行能力をAKPで整理→問題発覚→本人に伝える→本人の受診意志→産業医へ
そもそも働くとは・・・
①「職務の本質的機能の遂行をする」(能力に合わせた雇用)
②「合理的な配慮」
- 障害者が、①「職務の本質的機能の遂行をする」ために何が必要なことが、②の「合理的な配慮」です。最初に職務を明確にしてから、そのための配慮をするという、この順番が重要です。
- 発達障害という障害名が明確になると「障害から生じる苦手なこと」を先に考え、本人が苦手なことをしないで済むための配慮ばかりになる傾向がある。そうではなく、職位相当の本質的な仕事が何か、活躍するために何が必要かを考え、そのための配慮や支援が必要。
すべての人に「解決思考」型アプローチ
結果を出すためには、どのような能力を生かすと良いか、今まで何が良かったか、という視点で解決像を探していく方法。
障害のある人だけでなく、多様な人が活躍できる職場作りに活用できる。
発達障害の人の働き方として「成功とは何か」
- 成功することは、失敗しないことではない。
- 基礎を身に着ける中で、「他の人より早く習得できる」分野を見つけて、そこを徹底的に鍛えていくことが、成功への近道。
- 自分の得意なことが明確になっていれば、それを伝えることで雇用側もそれを生かした仕事を検討することができる。
- 雇用する側は、本人と「どういうことが得意か、不得意か」をていねいに確認し、得意なことを生かせる業務と職場が社内にあるかを探す。
詳細は本記事をご覧ください。
(ハラスメント防止対策委員会/重嶋)