「12月は職場のハラスメント撲滅月間」ポイント解説③ハラスメントtopics19
「12月は、ハラスメント撲滅月間!」
「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」(厚生労働省主催)の基調講演から、
グループ各社皆さんに留意して頂きたいポイントを、複数回に分けてお伝えしています。
先回まで 1.中小企業におけるハラスメント対策 2.ハラスメントに対する企業の義務と法的責任 について、お届けしました。
最終回は、
3.広がりを見せるハラスメントの問題
4.ハラスメント対策を講じる意義と、今後の課題
についてです。
3.広がりを見せるハラスメントの問題
(1) 当事者が雇用関係にないケース
❶相手方(被害者)が会社の従業員ではないハラスメント
個人事業主(フリーランス)、インターンシップ生、就職活動中の学生(就活生)など、直接の雇用関係にない相手方へのハラスメントも、もちろん不法行為となります。
現在、防止措置に関しては法律上の義務ではなく、パワハラ指針において「配慮することが望ましい」との位置づけになっています。
しかし、安全配慮義務は、前述のように「信義則」がおおもとの根拠なので、雇用関係(労働契約の存在)は必須ではありません。つまり、「業務委託契約」を締結した企業とフリーランスの関係においても、安全配慮義務は肯定されうることになります。
❷ カスタマーハラスメント(顧客等が加害者となるケース)
同様に防止措置に関しては法律上の義務ではなく、パワハラ指針において相談先を定め、適切に対応できるような枠組みを整えることが望ましいとされています。
例えば、
・対応方針を定めて周知し、具体的な対応ルールを社員に教育する
・一人で対応させず周囲がフォローに入るようにする
・カスハラを受けた社員からの相談体制を整備する
等の取組みです。
日々、多くのお客様と接する業種の会社はどのような対策をとっていますか?
カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを参考に、対策を考えてみてはいかがでしょうか。
4.ハラスメント対策を講じる意義
「ハラスメント防止」は、社員と会社を守るために、基礎的に備えておくべき姿勢です。
❶ 被害者を作らない
人権、そして働きやすい職場環境で働く権利を守る。
新たな被害者を作らない。
被害者を早期に救済する。
❷ 加害者を作らない
ⓐ自分が「ハラスメントをやっている」ことを気付かせる。
言動を改める機会を与える。
ⓑ法的責任(損害賠償責任)の回避にもつながる
❸ 組織(企業)に必要
ⓐハラスメントのある(蔓延する)職場の弊害
雰囲気が悪い→生産性の低下(Performanceの低下)、人材の流出
ⓑ報道等によるイメージの低下や、損害賠償責任
今後の課題~使用者、そして労使に求められること
①周知啓発(研修等)を根気よく繰り返す
②ハラスメントを見て見ぬふりをしない「環境」をつくる
③ハラスメント対策は経営にプラスになるという発想(マインド)を持つ
毎年ハラスメント防止研修を実施している大島グループにとっては、このハラスメント防止の意義と課題は、皆さんすでに共通認識としてお持ちのことと思います。
すでに何回も研修を受けている皆さんは、お手本となる姿勢を示して、新入社員にハラスメント防止の意義を教えてあげてください。また、ハラスメントにつながりそうな行為を見かけたら、見て見ぬふりをしたり、傍観したりせずに、注意しましょう。それが被害者も加害者も作らない、社員と企業を守ることにつながります。
=終わり=
出典・参照
「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」基調講演(2022/12/07)
従業員が辞めない!明るくイキイキ働ける職場へ
~中小企業も取り組みやすい、ハラスメント対策のポイント
成蹊大学法学部 原 昌登 教授